会社の仕事で、生成AIを使っている人は増えているのでしょうか。日本の会社は、どんな方針で、どんな業務に使っているのでしょう。
この記事では、総務省の「令和8年版 情報通信白書」の第I部第2章第1節「企業におけるAI利用の現状」のうち、活用方針、組織的な取組、業務での利用状況、活用による影響の4つのデータをまとめました。調査は、日本、米国、ドイツ、中国の企業向けに行われたもの(「2025年度企業向け調査」)で、前の年度の調査(「2024年度企業向け調査」)との比較も出てきます。
1. 活用方針: 「積極的に」「領域を限定して」で約7割
自分の会社の生成AI活用の方針をたずねたところ、「積極的に活用する方針である」「活用する領域を限定して利用する方針である」と答えた割合の合計は、日本で68.9%でした。前の年度の調査(49.7%)から大きく上がりました。ただし、ほかの3か国(米国、ドイツ、中国)と比べると、日本は引き続き低い結果です。
企業の規模別に見ると、同じ合計が、大企業で74.0%、中小企業で58.1%でした。どちらも前の年度より上がっていて、特に中小企業の上がり方が大きくなっています。

| 区分 | 「積極的に」+「領域を限定して」の合計 |
|---|---|
| 日本(全体) | 68.9%(前の年度は49.7%) |
| 日本の大企業 | 74.0% |
| 日本の中小企業 | 58.1% |
2. 組織的な取組: 「取組はない」が約3割
「利用を禁止している」と答えた会社を除いて、生成AIで業務を変えていく組織的な取組の状況をたずねました。
- 全社横断、各部署単位、個人業務単位のいずれかで、組織的に取り組んでいると答えた割合は、日本で65.6%でした。活用方針の合計(68.9%)とほぼ同じ水準です。
- 一方で、「組織的な取組はない」は27.0%と約3割あり、米国・ドイツ・中国と比べて、はっきり高い結果でした。
- 企業の規模別では、「取組はない」は中小企業で特に高い傾向がありました。
戦略や方針は、どうなっている?
組織的な取組がある会社に、戦略や方針の状況をたずねたところ、日本では「経営戦略のなかでAI活用の目的や方針が明示されている」が最も高く、次に「経営幹部がAI活用の意義について社内外に情報発信している」が続きました。ほかの3か国では、これらに加えて、「経営幹部から各部署に、実施事項や達成目標が示されている」「取組を進める部署や責任者が明確になっている」という回答も目立ちました。
日本の中小企業では、「特に実施している施策はない・把握していない」という回答も一定数ありましたが、「経営幹部から各部署に、実施事項や達成目標が示されている」が最も高い回答でした。中小企業のAI活用では、トップの関わりが、カギになっていることがうかがえます。
環境づくりは?
日本では、「業務プロセスの見直しや、生成AI活用の検討に必要なスキルやノウハウを学べる環境がある」が最も高く、次に「生成AI活用の検討に向けた予算や人員が確保されている」でした。企業規模別でも同じ傾向でした。ほかの3か国では、「生成AIに社内データを学習させたり、生成AIが参照できるデータベースを作ったりしている」という回答が5割を超えていて、日本より大きく高い結果でした。

3. 業務での利用: 日本は86.4%
生成AIを、自社の何らかの業務で使っていると答えた割合は、日本で86.4%でした(活用方針に「わからない」と答えた対象を除く)。前の年度の調査から大きく上がり、ほかの3か国との差も縮まりました。
業務の種類ごとに見た、日本の活用状況です。
- 「議事録・メール作成の補助」で使っていると答えた割合が約7割で、最も高い。
- 次いで、「営業・販売」が約6割、「社内ヘルプデスク」が約5割。
- 導入の効果を実感していると答えた割合は、「議事録・メール作成の補助」が約7割で、ほかの業務類型より、はっきり高い。
日本は全体的に、「未導入」や「わからない」と答える割合が高めでした。米国や中国では、各業務での活用率が高く、特に「研究・商品開発」で、導入効果を実感すると答えた割合が高い傾向でした。
4. 活用でどんな影響がある?
生成AIの活用で生じうる影響を聞いたところ、日本では次の順でした。
| 日本の回答 | 割合 |
|---|---|
| 作業時間の短縮などによる業務の効率化 | 61.6% |
| 品質管理の精度向上やパーソナライズなどによる、製品・サービスの質の向上 | 32.2% |
| 人員不足の解消 | 26.8% |
ほかの3か国では、「製品・サービスの質の向上」が最も高く、次に「業務の効率化」、「技術の継承やノウハウ共有の円滑化などによる、従業員の専門的な経験・能力不足の緩和」が続きました。白書は、日本では生成AIが「業務の効率化」の文脈で捉えられている一方で、ほかの3か国は、もう一歩踏み込んで、製品・サービスの質の向上や生産性の向上という文脈で捉えている可能性がある、としています。

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出典
- 総務省 令和8年版 情報通信白書「生成AIの活用方針等」(2026年10月16日に確認)
- 同「組織的な取組状況」(2026年10月16日に確認)
- 同「生成AIの業務利用状況」(2026年10月16日に確認)
- 同「生成AIの活用により生じうる影響」(2026年10月16日に確認)
