★ 2026-10-31 再エネ・蓄電池

ペロブスカイト太陽電池とは?薄くて軽い次世代の太陽光。いつ使える?

ペロブスカイト太陽電池とは?薄くて軽い次世代の太陽光。いつ使える?

屋根に載せる太陽光パネルは、ガラスでできていて、重くて、固いもの。そんなイメージはありませんか。

いま、薄くて軽く、曲げられる、新しい太陽電池「ペロブスカイト太陽電池」が、注目されています。この記事では、いまの太陽電池とのちがいや、使われそうな場所、国の目標を、やさしくまとめました。

ペロブスカイト太陽電池の3つの特長。低コストが見込める、軽くて柔らかい、主な材料は日本で作れるペロブスカイト太陽電池の3つの特長 低コストが見込める塗る・印刷するなどで、工程が少ない 軽くて柔らかい折り曲げやゆがみに強い 主な材料は日本でョヨウ素は日本が世界第2位(約3割)出典:資源エネルギー庁 | 一情多楽
広告

いまの太陽電池の、困りごと

いま、いちばん普及している太陽電池は、発電する部分がシリコンでできた「シリコン系」で、シェアは95%です。耐久性が高く、電気に変える力(変換効率)も高いのが、特長です。

ただ、電池そのものの重さや、屋外で長持ちさせるためのガラスの重さがあって、設置できる場所が限られます。日本は、平地の面積あたりの太陽光発電の導入量が、主要な国の中で1位(2019年度時点のデータ)で、これから新しく置ける場所を、どう確保するかが、課題になっています。

ペロブスカイト太陽電池の、3つの特長

「ペロブスカイト」は、結晶の構造の名前です。この構造を持つ化合物を、発電する層に使うのが、ペロブスカイト太陽電池です。

  1. 低コストが見込める。材料をフィルムなどに、塗ったり印刷したりして作れます。製造の工程が少なく、大量に作りやすいためです。
  2. 軽くて、柔らかい。小さな結晶が集まって膜になっているので、折り曲げやゆがみに強く、軽くできます。
  3. 主な材料が、日本で作れる。主な原料のヨウ素は、日本の生産量が世界の約3割で、世界第2位です(第1位はチリで約6割)。他の国に頼らず、材料を確保しやすい点で、経済安全保障の面でも、利点があります。
シリコン系(いま主流)ペロブスカイト
重さ・形重くて厚みがある。ガラスの重みもある薄くて軽く、曲げられる
設置できる場所耐荷重のある屋根や、広い土地などビルの壁や、耐荷重の小さい屋根にも期待
耐久性高い寿命が短く、耐久性が低いのが課題
製造工程が多い塗る・印刷するなどで、工程が少なく低コストが見込める
主な原料ヨウ素の生産量の世界シェア。チリが世界1位で約6割、日本が世界2位で約3割。ヨウ素の生産量 チリ(世界1位)約6割ヨウ素の生産量 日本(世界2位)約3割
ペロブスカイト太陽電池の主な原料「ヨウ素」の生産量(世界のシェア)。出典:資源エネルギー庁「日本の再エネ拡大の切り札、ペロブスカイト太陽電池とは?」(エネこれ)
いま普及している太陽電池のうち、シリコン系のシェアは95%。いまの太陽電池のシェアシリコン系 95%
いま普及している太陽電池のシェア(シリコン系が95%)。出典:資源エネルギー庁「日本の再エネ拡大の切り札、ペロブスカイト太陽電池とは?」(エネこれ)

課題も、あります

  • 寿命が短く、耐久性が低い。
  • 大きな面積にするのが、難しい。
  • 変換効率を、さらに上げる必要がある。近年は向上していて、シリコン系に対抗できると期待されていますが、さらなる向上が求められています。

どんな場所で、使われそう?

使われそうな場所。ビルの壁・屋根、IoT機器など、交通・航空使われそうな場所 ビルの上壁・屋根耐荷重の小さい屋根にも設置できる loT 機器など屋内・小型のタイプは、小さな機器に貼れる 交通・航空高いエネルギー密度が求められる分野出典:資源エネルギー庁 | 一情多楽
  • 軽くて柔らかいタイプ:ビルの壁面や、耐荷重の小さい工場の屋根などに設置できます。
  • 屋内・小型のタイプ:IoT機器など、小さな機器に貼れます。
  • 超高効率のタイプ:設置できる面積が限られ、高いエネルギー密度が求められる、交通や航空などの分野での利用が期待されています。

屋根の積載荷重(屋根が支えられる重さの上限)が厳しく、いまの太陽電池をあきらめるしかなかった場所に、設置できる可能性があります。

広告

国の目標と、支援

  • 2024年11月に、「次世代型太陽電池戦略」を策定。2040年までに約20GWを導入する目標、2030年までに、GW級の生産体制をつくること、公共部門や、環境の価値を重視する民間企業が、率先して導入することなどが、示されました。量産の技術、生産体制、需要づくりを、三位一体で進めます。
  • グリーンイノベーション基金:「次世代型太陽電池の開発プロジェクト」(498億円)で、2030年の社会実装を目指してきました。海外との競争が激しくなったため、2023年8月に150億円を積み増して、648億円としました。
  • 生産拠点づくりの支援:GX経済移行債を使って、生産拠点を整える支援をする方針です。令和6年度には、「GXサプライチェーン構築支援事業」に、548億円(総額4,212億円)が計上されました。

企業の取り組み(2024年時点)

  • 積水化学工業:ビルの壁や、耐荷重の小さい屋根に設置できる、軽くて柔らかいフィルム型を開発。30cm幅の製品を、連続して作れるようになり、耐久性は10年相当、発電効率15%の製造に成功しました。
  • 東芝:フィルム型の電池を作る方法を開発。変換効率の向上と、生産の高速化の両立をめざしています。
  • カネカ:建物の材料と一体になる形をめざして、シリコン太陽電池の製造技術を活用した開発をしています。
  • エネコートテクノロジーズ、アイシン:IoT機器や建物用への展開や、材料を均一に塗るスプレーの技術の開発に取り組んでいます。

JR西日本の「うめきた(大阪)駅」の広場への設置や、高層ビルの壁面への1MW超の導入計画など、実際に使ってみる計画も、公表されています。

自宅の屋根で、使えるのはいつ?

家庭の屋根向けの製品が、いつ、いくらで買えるのかは、今回確認した資料からは、分かりませんでした。資料で示されているのは、ビルの壁や、耐荷重の小さい屋根など、これまで太陽電池を置きにくかった場所への期待と、国の導入の目標です。いまの太陽光パネルを検討している人は、販売店や施工店に、最新の状況を聞いてみましょう。

まとめ:軽くて曲がる、設置場所を広げる技術

ペロブスカイト太陽電池は、薄くて軽く、曲げられるため、いまの太陽電池が置けなかった場所に設置できる可能性があります。耐久性や大面積化といった課題はありますが、国は、2040年までに約20GWの導入を目標にしています。今後の動きに注目しましょう。

関連記事

出典

広告