★ 2026-10-24 防災・備え

災害のあとの消費者トラブル。屋根の修理、保険金、キャンセル料……あわてて契約しないために

災害のあとの消費者トラブル。屋根の修理、保険金、キャンセル料……あわてて契約しないために

地震や台風、大雨、大雪。災害が起きると、被害そのものだけでなく、そのあとに起こる「消費者トラブル」にも注意が必要です。屋根の修理を持ちかけられた、被災者のためと言われて投資を勧められた、旅行のキャンセル料が思ったより高かった……。こうしたトラブルは、被災地だけでなく、遠く離れた地域でも起きています。

実際に消費生活センターに寄せられた事例と、困ったときの考え方を、順番に見ていきましょう。

災害のあとに多い、2種類のトラブル

全国の消費生活センターには、大きな自然災害が起きた年ほど、災害に関連したさまざまな相談が寄せられます。過去の事例を見ると、大きく分けて、住宅など建物に関するトラブルと、自然災害を口実にしたトラブルが多く見られます。

災害のあとに多い消費者トラブル

住宅など建物に関するトラブル

実際に寄せられた相談の例を、いくつか見てみましょう。

  • 雨漏りの修理をしたのに、悪化した。大雨で屋根から雨漏りがして、インターネットで探した業者に修理を頼みました。ところが、次の台風で、雨漏りはさらにひどくなりました。業者から工事代金を請求されていますが、直っていないのに支払うのは納得できません。
  • 賃貸アパートで雨漏りが続き、家具が使えなくなった。管理会社に伝えても、窓の内側にすき間止めをしただけで、また雨漏りして、家具がぬれました。被害は約10万円ですが、貸主が出すのは半額だけ。繰り返し伝えていたのに、全額補償されないのは不満だ、という相談です。
  • 「点検します」と言われて、屋根の修理を契約したが、信用できない。「震災で壊れた近所の屋根工事をしている」という業者が来て、点検を勧められました。屋根に上がった業者は、数枚の写真を見せて、「今なら格安で工事をする」と言い、見積書を出しました。後で近所に聞くと、どこも屋根工事などしておらず、見せられた写真も、自宅の屋根とは色が違っていました。
  • 住めない状態なのに、家賃を払うよう言われた。地震後の危険度判定で「危険」と貼り紙をされたアパートなのに、管理会社は「住める」と言い、前払いの家賃が引き落とされた、という相談もあります。
  • 大雪でカーポートが倒れた。施工不良では?基礎部分が、メーカーの施工要領と比べてかなり小さい、と感じた人の相談です。

災害による破損をきっかけに、建物の施工不良の疑いが明らかになったり、修理工事のトラブルが起きたりすることがあります。建物の修理が適切だったかどうかは、一般の消費者には分かりにくく、実際に雨が降るなど、時間がたってから不具合が見つかることもあるため、「何度工事しても直らない」といったトラブルが繰り返し起こることもあります。

賃貸住宅が自然災害で壊れた場合は、一般的には、大家(家主)が修理や補償の責任を負います。ただし、どこまで修理・補償するかは、個別の事情によってさまざまで、契約書にすべて書かれているとは限りません。そのため、大家と借りている人の間で意見が分かれ、トラブルになることがあります。

自然災害を口実にした、便乗商法に注意

便乗商法は、世間の注目を集めている話題を利用して、消費者の関心を引こうとするものです。大きな被害が出た自然災害のあとは、災害への関心の高まりを利用して、被災地の人はもちろん、被災地以外の人も狙われる傾向があります。

  • 「火災保険が使える」と、屋根の修理を勧められた。見知らぬ業者が訪ねてきて、「火災保険に入っていれば、自然災害による破損は保険金で修理代をまかなえる。請求の手続きは代行するから、ぜひ工事を当社で」と言われて契約しました。ところが、見積りより少ない額の保険金しか下りず、解約したいと伝えると、下りた額で工事をすると言われました。
  • 不安をあおられて、工事を契約させられた。「屋根の一部が破れていて、今度大雨が降ったらきっと雨漏りする」「外壁が傷んでいて、次の台風で危ない」などと言われた例です。
  • 詐欺が疑われる勧誘。「被災者のために、高齢者施設の入居権を譲ってくれれば高く買い取る」といった勧誘や、「複数の業者のもとにある個人情報を削除する」というあやしい電話、「自然災害のときに役立つ」とソーラーシステムなどへの投資を勧める話もあります。

「劇場型勧誘」とは?

複数の人が、それぞれ違う役を分担して演じ、消費者が得をするように信じこませて、実体のわからない金融商品などを買わせる手口です。たとえば、業者Aが投資のパンフレットを送りつけたあと、業者Bが電話をかけてきて、「Aの投資に応じてくれれば、あとで高値で買い取る」と言い、さらに業者Cが「Bは信用できる」と説明する、といった具合です。お金を払うと、連絡がとれなくなります。A、B、Cは裏でつながっているとみられます。

パターンには、「自分は買う資格がないので、代わりに買ってくれれば高く買い取る(代理購入型)」「お金は代わりに払うので、申し込むだけでいい(代理申請型)」「過去の損失を取り戻す(被害回復型)」などがあります。実在する公的機関や大手企業の名前を使って、信用させようとするケースも多く見られます。少しでもあやしいと思ったら、周りの人か、最寄りの消費生活センターに相談しましょう。

旅行や交通機関の「キャンセル」にも注意

台風や大雨、大雪で、飛行機や鉄道が欠航・運休することがあります。それを見越して前もってキャンセルしたとき、「思ったより高いキャンセル料を請求された」「払い戻しの専用番号に電話し続けているが、つながらない」といった相談があります。有料キャンプ場を予約していて、台風が近づいたのでキャンセルしたところ、代金の50%を請求された、という相談もあります。

キャンセルの扱いは、業者や切符の種類によって違うことがあります。キャンセルが集中すると、対応が遅れることもあります。予約するときに、キャンセルの条件と手続きを、前もって確認しましょう。台風や大雨、大雪が予想されるときは、改めて確認するのがおすすめです。旅行や宿泊、コンサートなどの予約、前売券の購入でも同じです。

災害に便乗した勧誘の例

疑問や不安を感じたときは

住宅の修理・リフォーム

不安をあおったり、契約を急がせたりする業者もいます。業者の説明をよく聞き、複数の業者から見積りを取り、周りの人にも相談して、慎重に決めましょう。

工事と保険金の請求をセットで契約させ、高い手数料や解約料を請求される例があります。火災保険の保険金は、必ず、消費者自身が、事実にもとづいて請求しましょう。訪問勧誘や電話勧誘で契約したときは、契約書面を受け取った日から8日間は、「クーリング・オフ制度」で契約を取り消せます。

賃貸住宅の契約

修理費をどちらが負担するのかなど、賃貸契約の内容をよく確認しましょう。

交通機関や旅行のキャンセル

交通機関なら「輸送約款」、イベントなら、チケットや主催者のサイトで、キャンセルのルールを確かめましょう。わかりにくいときは、事業者に聞いておきます。災害がある程度予想できるときは、早めにキャンセルを判断することも大切です。

悪質商法・詐欺的な行為

「被災者のためになる事業に投資しませんか」といった、被災者への親切心につけこむ勧誘もあります。話の内容があやしい、よく理解できないと思ったら、話に乗らないようにしましょう。

トラブルに遭ったときの考え方

困ったときの相談先

業者の勧誘に不安や疑問を感じたときや、トラブルに遭ったときは、最寄りの消費生活センターに相談しましょう。消費者ホットライン「188」に電話すると、お近くの消費生活相談窓口を案内してもらえます。

まとめ:災害のあとほど、あわてて契約しない

災害のあとは、不安な気持ちにつけこまれやすいものです。「今だけ格安」「保険金で修理代をまかなえる」と言われても、その場で契約せず、複数の見積りを取り、周りに相談しましょう。迷ったら、188番です。

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出典