もし避難所で暮らすことになったら、どんなことに気をつければいいのでしょうか。急に始まる共同生活は、ふだんは気にならない生活リズムの違いが、ストレスの原因になることもあります。
この記事では、お互いに気持ちよく過ごすための基本のルールやマナー、そして女性・配慮が必要なかた・こどもへの心づかいをまとめました。避難所によってルールは異なるので、実際の運営に合わせて読んでくださいね。
避難所のルールとマナーの基本
避難所では、避難している人どうしの助け合いと協力が欠かせません。要配慮者への心づかいも必要です。ほかの人の居住スペースに立ち入ったりのぞいたりしない、周りに迷惑な大声で話さない、決められた場所以外で喫煙しない、といったマナーも大切です。
プライバシーと睡眠の工夫
- プライバシー:テント・パーティションなどで空間を区切ります。防犯の面からも、外部の人の出入りや、他人の立ち入りを制限できます。要介護のかたや女性には、特に配慮します。
- テントの使いみち:就寝だけでなく、物資の受け取りや情報交換のときの私的な空間としても使えます。女性の着替えや授乳のスペース、こどもが遊べる居場所にも役立ちます。
- 消灯:明るいと眠れない人も、暗いと眠れない人もいます。日替わりで消灯するなどの工夫をします。
- 生活環境:温度、湿度、光、臭い、音量、振動、空気のきれいさなどに気を配ります。耳栓やアイマスク、防塵マスク、消臭・衛生用品も役に立ちます。

土足・配給・貴重品のルール
- 土足:災害後の避難所は、多くの人が出入りする特殊な環境です。安心できる衛生環境のために、生活エリアから十分に離れた所に「土足禁止ライン」をはっきり示します。家では当たり前のことも、話し合ってルールにしておきます。
- 物資の配給:われ先にとあせらず、落ち着いて順番を待ちましょう。列に並べない要配慮者には、手助けが必要かどうか声をかけます。物資が少ないときは、複数人で分け合うこともあります。
- 私物・貴重品:印鑑、通帳、カード類などの保管場所を確保します。部屋が無人にならないように、お互いに見守ります。
暑さ・寒さへの備え
避難所は、日中に高温になることがあります。災害で停電すると、冷暖房が使えないことも。次のような工夫があります。
| 季節 | 工夫の例 |
|---|---|
| 暑さ | 温度計・湿度計で室内を定期的に測る/早い時期(5月)からエアコンを設置/扇風機、網戸、氷柱、打ち水/遮熱・断熱塗料、遮光フィルム・カーテン/冷却ジェルシートや飲料の配布 |
| 寒さ | 床にマットや畳を敷く(段ボールでも効果あり)/隙間風にガムテープを使う/通気性を考えて間仕切りを撤去/備蓄の毛布やストーブを活用/冬山用の断熱マットや保温性の高いシート |
自宅から暖房器具を持ち込んでも、電気容量の問題や火災の危険があって、使えないことがあります。

避難所の防犯と、食中毒・感染症の予防
避難所では、盗難や性犯罪、住宅リフォーム詐欺、偽ボランティアなどの犯罪が多く起きています。人の出入りを管理する体制を準備し、「貴重品は必ず身につける」「信頼できる業者以外とは商談しない」といった心構えを広めることが大切です。複数の管理者による定期的な見回りや、女性への防犯ブザーの配布も有効です。
食事の前やトイレのあとは、流水でしっかり手洗いをします。水が足りないときはウェットティッシュを使い、調理器具は使ったあとにできるだけ洗いましょう。
女性・要配慮者への心づかい
- 女性への物資:生理用品や下着は、女性の担当者から配る、女性専用スペースや女性トイレに常備するなどの配慮をします。避難所に来ていない在宅避難者にも、女性用品や乳幼児用品を届けます。
- 相談窓口:避難所ではセクシュアルハラスメントや性暴力のリスクが高まります。相談窓口を設け、女性専用スペースに案内や注意を促すポスターを貼ります。
- 運営への参加:避難所の運営で、女性の意見が反映されるようにします。
- 妊産婦・授乳:妊産婦を早めに把握して声をかけ、物資や情報を届けます。授乳ができる女性専用のコーナーを作り、母親に食事が行きわたるようにします。
- 目が不自由なかた:白杖を上にあげているのは、SOSのサインです。「何かお手伝いしましょうか」と正面から声をかけ、肩や手など体の一部に触れて知らせます。
- 耳が不自由なかた:近くでまっすぐ顔を向け、口をはっきり動かして話します。紙とペンでの筆談や、手話の対応が必要な場合もあります。
- 体が不自由なかた:車椅子で階段を移動するときは、必ず2人以上で手伝います。
- 補助犬:盲導犬や聴導犬は、必要な人にとって体の一部です。理解を広めることが大切です。
こどものケア
こどもへの配慮は、3つの柱で考えます。
- 大切な人と一緒にいる:家族と離ればなれにしないようにします。保護者と一緒でないときは、児童福祉機関などにつなぎ、ひとりにしません。
- 安全の確保:動揺するような光景に近づけない、出来事の詳しい話を耳に入れない、部外者の接触や取材から守ります。
- 聞き、話し、遊ぶ:穏やかに、こどもの目線のわかりやすい言葉で話しかけます。年齢に合った遊びも一緒にしましょう。
年齢別のポイントもあります。乳児には、暖かくして安心できる環境をつくり、やさしく抱きしめ、決まった時間に食事と睡眠をとります。幼児や児童には、「安全だ」と何度も伝え、「悪いことは自分のせいではない」と話し、いつも通りの生活時間を守ります。赤ちゃん返りは見守りましょう。思春期の若者には、話をする時間をつくり、悲しんでいる気持ちを認めて我慢させず、先入観を持たずに話を聞きます。

まとめ
避難所は、年齢も事情もさまざまな人が一緒に過ごす場所です。ルールを守ること、そして声をかけ合うことが、いちばんの安心につながります。家族で「もし避難所に行くなら」と話し合っておくと、いざというときに役立ちます。
関連記事
- 地震への備えと行動まとめ。ふだん・揺れたとき・そのあとを1本で
- 「備蓄品」と「非常持出品」のちがいとは?備え方のポイント
- ペットの防災、何を備える?フードは5日分、避難用品の優先順位(環境省)
- 災害時の安否確認は、家族で決めておく。「171」と「災害用伝言板」の使い方
出典
- 政府広報オンライン 防災特集「ACTION04 避難所での生活ルール」(提供:+ソナエ・プロジェクト)(2026年10月19日に確認)
