火の気がないのに、洗濯物やぞうきんから、いきなり火が出る。そんなことが、本当に起こります。原因は、布や紙にしみこんだ「油」です。
発表は夏に向けたものです。事故の例と、気をつけたいポイントを見ていきましょう。
油が自然に燃える?どうして起こるの?
油は、脂肪酸という成分を含んでいます。脂肪酸には、「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」があり、油の自然発火は、不飽和脂肪酸が酸化して熱を出すことで起こります。
身近なものでいうと、アロマオイルの一種のホホバオイルには「オレイン酸」が、グレープシードオイルやひまわり油には「リノール酸」が多く含まれています。アロマオイルや塗料に使われる亜麻仁油には「α-リノレン酸」が豊富です。床用ワックスにも、オレイン酸を含むものがあります。
不飽和脂肪酸を含む油は、空気中の酸素と反応して熱を出します。その熱が積み重なって、やがて発火点に達すると、火の気がなくても燃え出してしまうのです。発火点とは、火や火花がなくても、自然に発火する最低の温度のことです。
油が布や紙にしみこんでいると、空気にふれる面積が大きくなって、酸化が進みやすくなります。不飽和結合を多く持つ油ほど、反応しやすく、発火しやすくなります。

夏は、特に注意が必要
夏の高い気温の中では、酸化で出た熱が外へ逃げにくく、中にたまりやすくなります。油が空気中の酸素と反応する速さは、温度が10℃上がるごとに、2〜3倍になるとされています。ほかの季節より、発火しやすくなるのです。
実際に起きた事故の例
事故を、3つ見てみましょう。
- エステ店で、バスタオルから発火(2013年7月、岡山県)。乾燥が終わった電気洗濯乾燥機の中から、火が出ました。油が付いたバスタオルを乾燥したため、残っていた油が酸化熱で自然発火したと推定されています。本体と取扱説明書には「油などの付着した衣類は洗濯後でも絶対に乾燥しない」という旨が書かれていました。
- 魚の油をふいたタオルから発火(2012年1月、大阪府)。ガス衣類乾燥機から煙が出て、乾燥機と中のタオル(鮮魚店で魚をふくのに使ったもの)が焼けました。ドラムの中のタオルから油分が検出され、油が付いたタオルを乾燥したために自然発火したと推定されています。説明書には「食用油、動物系油などの付着した衣類は洗濯後でも絶対乾燥しない」という旨が書かれていました。
- 塗料をふいたウエス(工業用の雑巾)から発火(2016年8月、宮城県)。塗料をふき取ったウエスを、ビニール袋に入れて保管していたところ、火が出て周りが焼けました。塗料の主成分は、不飽和脂肪酸を多く含むえごま油でした。ウエスと枯れ草を同じ袋に入れて、7日間置いたため、熱が逃げずにたまって、自然発火したと推定されています。製品には、ふき取ったウエスを水にひたして捨てるなどの処理方法が書かれていました。
気をつけたい3つのポイント
1. 油が付いた布は、洗濯後でも乾燥機にかけない
アロマオイルやマッサージオイルがしみこんだタオルや衣類は、条件が重なると、自然発火するおそれがあります。防ぐには、次の手順がすすめられています。
- 油汚れが落ちやすい洗剤で、しっかりもみ洗いして、油分をできるだけ落とす。
- 洗濯する(できれば二度洗いが望ましい)。
- 乾燥機能は使わず、風通しのよい場所に干して乾かす。
- 油が付いた布を、洗濯かごなどに重ねて置いたままにしない。
2. 油が付いた布や紙は、水にひたさずに袋や容器に入れて放置しない
床用ワックスや塗料をふき取った布や紙は、何日かかけて、自然発火するおそれがあります。水にひたしてから捨てるなど、安全な処理をしましょう。
3. 購入後は、「高温注意」「火気厳禁」などの表示を確認する
床用ワックスや塗料の中には、揮発性が高くて、成分が空気中に広がりやすいものがあります。揮発性の高い成分が含まれていると、換気が不十分なところで火気が近くにあるとき、引火する危険もあります。「高温注意」「火気厳禁」などの表示は、安全に使い、しまうための大事な情報です。使う前に必ず読んで、直射日光や高温になる場所を避け、火気の近くでは使わないなど、表示のとおりにしましょう。

事故の情報やリコールを調べるには
製品事故に特化した検索ツール「NITE SAFE-Lite(ナイト セーフ・ライト)」があります。ふだん呼んでいる名前で製品を入れると、関連する事故情報やリコール情報を調べられます。事故の例に添えられた「油 自然発火」「塗料 自然発火」などの言葉で検索すると、似た事故が出てきます。消費者庁の「リコール情報サイト」でも、キーワードでリコール情報を探せます。
もし製品事故に遭ったときは、購入先やメーカー、または消費者ホットライン「188」(最寄りの消費生活センター)へ連絡しましょう。
まとめ:油の付いた布は、「乾燥機に入れない」「水にひたす」
火の気がなくても、油がしみこんだ布や紙は燃えることがあります。「乾燥機にかけない」「水にひたしてから捨てる」「表示を読む」の3つを、覚えておきましょう。
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出典
- NITE 真夏の“油”断が火を招く!~高温環境で起こりやすくなる油の発火事故~(2025年7月8日発表)(2026年10月17日に確認)
- NITE 同発表資料(PDF)(2026年10月17日に確認)
