屋根に太陽光パネルがある家が、火事になったら。消防隊は、どんなことに気をつけて、消火するのでしょうか。
この記事では、太陽光発電システムのある住宅の火災で、消防が注意していることと、設置するときの備えを、やさしくまとめました。
太陽光パネルがあると、何が危ないの?
太陽光発電は、太陽の光を電気に変えているため、外から発電を止めることができません。そのため、火災の初めから、火の跡の確認が終わるまで、感電の危険があります。
- 夜でも、危険がある。炎の光でも発電が続くことがあります。
- 壊れて見えても、危険がある。見た目が壊れているパネルでも、光が当たれば発電します。
- 水を伝わって、感電することがある。棒のように勢いよく放水すると、水を伝って感電するおそれがあります。
- 建物を伝って、感電することがある。配線が切れて建物に触れていると、断熱材や金属の柱、梁を伝って、感電するおそれがあります。
- 取り外したパネルも、危険。光を受けると発電するので、感電や発火の可能性があります。
感電で大けがをしなくても、屋根の上で作業をしている隊員が、感電の衝撃で落ちるおそれもあります。
消防隊は、こう備えます
- 放水のしかたを変える。棒状ではなく、粒状や霧状にして、放水の距離や筒先を調整します。
- 濡れた手袋で、触らない。配線が建物に触れているときは、消火の水がしみこんだ手袋で、安易に建物に触れません。建物の中では、絶縁性の高い手袋を使います。
- パネルに、触らない・壊さない。火の跡を確かめるときも、壊れているものも含めて、安易に触れません。
- 取り外したパネルは、光をさえぎる。表面を遮光するか、裏返しに置きます。
落下にも、気をつけます
火災で、梁や柱、屋根が焦げて、もろくなると、パネルが自分の重さで落ちることがあります。高い熱を受けたパネルのガラスは、細かく割れず、20cmほどの大きな破片になる場合があります。残火の確認や調査のとき、大きなガラスが落ちてくるおそれがあるため、できるだけ、屋根の上からパネルを取り除いておきます。
実際に起きた、感電や出火の事例
東日本大震災で、津波に浸水した機器から出火
東日本大震災で、太陽光発電システムが焼けた火災は、3件が確認されています。3件とも、津波の被害を受けた地区です。
- 津波で浸水したパワーコンディショナの内部の配線から、出火した。
- 浸水した機器の配線に、塩分などが付いて、絶縁が劣化した。微小な電流が流れ続けて熱を持ち、約2か月後に出火したとみられる。
- 浸水した機器につながる配線が、力がかかって外れ、短絡して、被覆が焼けた。
海水の塩分などが、端子の部分に付いたことで、端子の腐食や、絶縁の劣化が起きたと思われます。内陸の火災には、太陽光発電システムに関係した火災は、確認されていません。
消火の活動中に、隊員が感電した事例
屋根に一体になった形のシステムがある2階建ての住宅の火災で、消火のあと、残火の確認や、パネルを引きはがす作業をしていた隊員が、感電しました。どちらも、消火のあとの濡れた現場で、濡れた手袋で作業をしているときでした。濡れた現場では、断熱材や壁も、電気を通しやすくなります。
設置するときの備え
パネルを無秩序に設置すると、建物の安全性を下げるだけでなく、消防活動時の感電の危険も心配されます。そこで、次のような設置の考え方が示されています。
- 屋根の上に、パネルを置かない部分(空きスペース)を、確保する。パネルの上で消防活動をするのは、滑落や感電の危険があるため、できるだけ避けるべきです。屋根の外周などに空きスペースがあると、消防活動時の危険を避けるのに、有効です。
- 消防隊員が出入りする場所の近くには、パネルや直流の配線を置かない。非常用進入口や屋外階段が、その例です。
- 感電を防ぐための表示を、つける。住宅などへの感電防止の表示は、とても有効です(ただし、これは提言です)。
住宅の屋根は、建築基準法に基づく風への強さの基準や、メーカーが決めたメンテナンスの基準で、屋根の外周に一定の空きスペースが取られることが多くなっています。
消防法とは、どう関わるの?
住宅の太陽光パネルについて、設置を義務づける消防法の規定は、確認できませんでした。上に挙げた設置の考え方は、「検討結果」や「提言」で、義務ではありません。
ただし、「消防法令等により、屋上にパネルを設置できない部分」があることを前提に、その部分に設置できる条件も検討されています。屋上などに設置するときは、建物の用途や、お住まいの市町村の火災予防条例によって、決まりが違うことがあります。設置を考えるときは、施工業者や、地元の消防署に、確かめましょう。
まとめ:パネルには、近づかない。設置のときは、空きスペースを
太陽光パネルは、光が当たる限り、発電を続けています。火災や災害のあと、壊れたパネルや配線には、むやみに近づかないことが大切です。設置するときは、屋根に空きスペースを残すなど、消防活動の安全にも、配慮しましょう。
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出典
- 太陽光発電システムを設置した一般住宅の火災における消防活動上の留意点等について(事務連絡 平成25年3月26日)|消防庁(2026年10月24日に確認)
- 太陽光発電設備に係る防火安全対策(第7章)|東京消防庁(2026年10月24日に確認)
