「首都直下地震」という言葉は聞いたことがあっても、どんな被害が想定されているのか、自分は何をすればいいのかは、ピンとこないかもしれません。
東京圏にお住まいでなくても、通勤・通学や出張で訪れる人は多いはずです。「自分ごと」として、いっしょに確認していきましょう。
首都直下地震って、どんな地震?
首都直下地震とは、東京圏とその周辺で起きる大規模な地震のことです。震源は、このエリアのさまざまな場所で起こりうると考えられていて、いつどこで起きても不思議ではないとされています。南関東地域を震源とするマグニチュード7クラスの地震は、今後30年以内に70%の確率で発生すると見込まれています。
想定されている被害
東京圏の人口は約3,690万人、建物は約965万棟あります。中央防災会議の「首都直下地震対策検討ワーキンググループ報告書」(令和7年・2025年12月)では、次のような被害が想定されています。
| 項目 | 想定 |
|---|---|
| 建物倒壊や火災などによる死者 | 最大約1.8万人 |
| 揺れや火災による全壊・焼失棟数 | 最大約40万棟 |
| 経済的被害 | 約83兆円 |
これは、都心南部直下地震が冬の夕方に起き、風速が8m/sの場合の想定です。起きる季節や時間帯(早朝、日中、夜)によって結果は変わるため、さまざまなパターンのシミュレーションが行われています。また、東京圏には近郊から通勤・通学する人が多いので、時間帯によっては帰宅困難者がたくさん出て、一時滞在施設にとどまることになる事態も想定されています。

国や自治体は、どんな準備をしているの?
- 救助・消火・医療:1都3県の警察・消防が域内の部隊を最大限動員し、全国の警察災害派遣隊、緊急消防援助隊、自衛隊も応援に向かいます。医療は、災害拠点病院(1都3県で168病院)のほか、全国からDMAT(専門的な訓練を受けた医療チーム)が集まります。被災地で対応が難しい重傷者は、航空機やドクターヘリで被災地の外へ運んで治療します。
- 物資の支援:国は、被災した自治体からの要請を待たずに、必要と見込まれる物資を調達して緊急輸送します(プッシュ型支援)。飲料水、食料、毛布、乳児用ミルク、おむつ、簡易トイレ・携帯トイレ、トイレットペーパー、生理用品などが、避難所や輸送拠点に届けられる予定です。
- 避難所の環境づくり:スフィア基準などに沿って、快適なトイレ、温かい食事、簡易ベッドやパーティションの提供が進められています。
ただ、東京圏には人が極めて多く集まっているため、国や自治体の支援だけでは、被災した人のニーズに対して大幅に足りなくなると見込まれています。だから、「自分の身は自分で守る」という自助が大切になります。
一人ひとりがとるべき行動
1. 家の耐震化と、火災を防ぐ工夫
まずは揺れから身を守るため、住宅の耐震化と家具の固定に取り組みましょう。そして首都直下地震では、地震に伴う火災が、死因の多くを占めると想定されています。火を使っているときに揺れを感じたり、緊急地震速報が出たりしたら、まず身の安全を最優先にして、揺れがおさまってから、あわてず火の始末をします。出火したときは、落ち着いて消火しましょう。停電から復旧したときに、倒れた家電から火が出ることを防ぐため、揺れに反応して自動でブレーカーを落とす「感震ブレーカー」の設置が推奨されています。
2. 在宅避難ができるように備える
みんなが一斉に避難所へ向かうと、定員を超えて入れない人が出るおそれがあります。自宅が倒れるおそれがなく、安全に過ごせるなら、できるだけ「在宅避難」で自宅にとどまりましょう。そのために、飲料水や食品を「最低3日間、推奨1週間」分、備蓄しておきます。
3. 外出先では、むやみに移動しない
公共交通機関が止まったとき、多くの人が一斉に帰ろうとすると、道路があふれて渋滞し、緊急車両が通れなくなるおそれがあります。勤務時間中に被災したら、原則3日間は帰宅せず、会社にとどまりましょう。通勤中や買い物中なら、「一時滞在施設」をなるべく利用します。開設状況は、各自治体のウェブサイトで確認できます。帰れないときの対応や安否確認の方法も、日ごろから話し合っておきましょう。
4. デマの拡散に加担しない
SNSでデマが広がると、生活の混乱や社会不安を招き、救命・救助や復旧の活動を妨げるおそれがあります。情報の発信元を確認する、不正確な情報を人に伝えない、といったデジタルリテラシーを心がけましょう。

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出典
- 政府広報オンライン「首都直下地震に備えよう!起こりうる被害、そして被害を抑えるためにできることは?」(2026年2月12日)(2026年10月16日に確認)
