「太陽光発電は、晴れた日に、たくさん発電できる。」それなのに、発電を一時的に止めることがある、と聞いたら、驚きませんか。
この記事では、「出力制御」とは何か、なぜ電気が余るのか、そして、蓄電池が注目される理由を、やさしくまとめました。
電気は、「使う量」と「作る量」を、いつも合わせる必要がある
電気は、使う量(需要)と、発電する量(供給)を、つねに一致させておく必要があります。このバランスが崩れると、電気の品質(周波数)が乱れて、最悪の場合は、大規模な停電につながるおそれがあります。
そのため、電力会社は、あらかじめ需要と発電量を見込んで計画を作り、バランスが保たれるように調整しています。たくさん使われそうなときは多く発電して、あまり使われなさそうなときは、発電量を抑えます。
再エネが増えると、調整がむずかしくなる
日本は、太陽光や風力などの再生可能エネルギー(再エネ)が、電源に占める割合を、2040年度に4〜5割程度にする見通しを示しています。再エネの割合は、近年、大きく増えてきました。
一方で、再エネの発電量は、天気や時間帯で変わります。そのため、需要と供給のバランスをとるのが、難しくなる課題があります。
たとえば、4月から5月
4月から5月は、日照時間が長くて、太陽光発電の発電量が大きくなりやすい季節です。ところが、冷房や暖房をあまり使わないため、電気の使用量は、1年の中で少ない時期です。つまり、「たくさん発電できるのに、使う量は少ない」状態になります。
このとき、需要と供給のバランスを保つために、ほかの手段では調整しきれない分について、再エネの発電を、一時的に抑えたり、止めたりすることがあります。これが「出力制御(出力抑制)」です。発電できるはずの電気を使えないのは、もったいないですよね。
そこで注目されるのが、蓄電池
余った電気を、いったんためておいて、必要なときに放出できれば、出力制御を減らすことにつながると期待されています。さらに、電気を必要に応じて出し入れすることで、需要と供給のバランスを保つ「調整力」としての働きも、担うことが期待されています。再エネを有効に使うことと、電気を安定して届けること。この2つが、いま蓄電池が注目される理由です。
蓄電池には、どんな種類があるの?
モバイルバッテリーや、電気自動車のバッテリーは、持ち運んだり、車に乗せたりできる「可搬型」の蓄電池です。ここで紹介するのは、決まった場所に据え置いて使う「定置用蓄電システム」で、置かれる場所によって、大きく3つに分けられます。
- 系統用蓄電システム。電力のネットワーク(電力系統)に直接つながっていて、広い敷地に、コンテナ型の設備を複数置くのが一般的です。電気が余ったときにため、足りないときに放電して、系統全体を安定させます。
- 再エネ併設蓄電システム。太陽光発電所や風力発電所などに併設されて、発電した電気を、その場でためます。発電が需要を上回りそうなときも、ためておけば、必要な時間帯に送り出せます。出力制御を減らすために、欠かせない存在です。
- 需要家側設置蓄電システム。家庭や、ビル・工場などに置かれます。家庭に置くものは「家庭用」、ビルや工場に置くものは「業務産業用」です。
1と2は、電気を送り出す供給側に、3は、電気を使う需要側に置かれるもので、それぞれの役割が違います。
家庭用の蓄電池は、何の役に立つ?
- 電気代を抑えられる可能性がある。太陽光発電がある家では、家族が出かけている昼間に発電した電気をためて、家族がそろう夜や朝に使えば、電力会社から買う電気の量を減らせます。
- もしものときの備えになる。日本は停電の少ない国ですが、地震や台風で電気が止まったとき、一時的にでも電気を使えるかどうかは、大きな違いになります。
停電のときに、屋根の太陽光発電を使う方法は、停電のとき、屋根の太陽光発電は使える?をご覧ください。
電気代を抑える仕組み:ディマンド・リスポンス
「ディマンド・リスポンス(DR)」は、電力の需要と供給のバランスを、供給側だけでなく、家庭や企業などの需要家側も、電力の使い方を調整して取る仕組みです。たとえば、電力需要がピークの時間帯に、冷房の設定温度を少し上げる、風量を少し弱める、といったことも、DRの一例です。蓄電池は、このDRで大切な役割を果たします。需要のピークの時間帯に、蓄電池から放電した電気を使えば、電力会社から買う電気が減って、電気代を抑えることにもつながります。
まとめ:電気をためて、再エネを無駄なく使う
晴れた春の日に、太陽光の発電を止める「出力制御」は、電気が余って、バランスが崩れるのを防ぐための調整です。蓄電池は、その余った電気をためて、必要なときに使うための仕組みです。家庭では、電気代と停電への備えの両方に、関わってきます。
