電子レンジやIHこんろは、火を使わないから安心。そう思っていませんか?実は、使い方をまちがえて、火災になってしまう事故が起きています。
この記事では、令和7年9月25日に発表された注意喚起「脱・取説キャンセル界隈 〜「電子レンジ」や「IHこんろ」等の調理家電の事故を防ぐポイント〜」から、事故の状況と気をつけたいポイントをまとめました。
調理家電の事故、どれくらい起きているの?
NITEに通知された製品事故情報のうち、2020年から2024年までの5年間に発生した調理家電の事故は、合計515件でした。
- 製品別では、「電子レンジ」と「IHこんろ」の事故が、例年多く発生しています。
- 事故の約75%(515件中388件)は、火災事故でした。
- 原因がわかっている220件(調査中の78件と、原因不明の217件を除く)のうち、使用者の誤使用・不注意が関係しているものが最も多く、約4割を占めています。
※事故情報には、消費生活用製品安全法に基づき報告された重大製品事故のほか、事故情報収集制度により集められた非重大製品事故も含まれます。2022年は、同じ型式の電気ケトルで接続部から発煙する事故が45件あったため、調理家電全体の件数が多くなっています(2023年1月にリコールを実施)。

ポイント1: 加熱の仕組みを知ってから使おう
調理家電には、加熱の方式が複数あるものがあります。それぞれの仕組みを知らないまま使うと、事故につながるおそれがあります。
電子レンジ: レンジ加熱とヒーター加熱
- レンジ加熱は、電磁波で食品を内側から温める方式です。
- ヒーター加熱(オーブン・グリルモード)は、ヒーターの熱で食品を外側から焼き上げる方式です。
加熱方式をまちがえると、発煙や発火につながるおそれがあります。2025年3月に行われたアンケート調査(15〜89歳の男女19,297人)では、ヒヤリハットや事故の経験として「金属製品をレンジ加熱した」が最も多い結果でした。アルミ箔やステンレスの容器などをレンジ加熱すると、スパーク(火花)が出て、火災につながるおそれがあります。
IHこんろ: IHヒーターとラジエントヒーター
- IHヒーターは、磁力によって、IH対応の鍋そのものが発熱する方式です。
- ラジエントヒーターは、トッププレート内部の電熱線が発熱して、その熱で鍋を温める方式です。
どちらもトッププレートが高温になるので、やけどに注意が必要です。ラジエントヒーターは、より高温になりやすく、鍋がなくても発熱します。そのため、上に可燃物を置きっぱなしにしないよう、特に気をつけましょう。
なお、IH対応の鍋は、鉄・ステンレス・ホーローなどの磁性の鍋(鍋底に磁石が付くもの)です。オールメタル対応のIHこんろなら、鍋底に磁石が付かない鍋も使えます。
ポイント2: 取扱説明書の注意事項を守ろう
しくみがわかっていても、ボタンの押しまちがいや、モードが合っていない食品に気づかないまま加熱すると、事故につながるおそれがあります。加熱を始める前に、モード選択とタイマー設定が正しいか、必ず確認しましょう。
IHこんろには、油の温度を一定に保って、油が発火点(370度以上)に達しないようにする「揚げ物用の運転モード・コース」がある製品があります。ある製品では、「揚げ物のときは、必ず右ヒーターの揚げ物モードを使う」と取扱説明書に書かれていました。揚げ物モードがあるときは、必ずそのモードを使いましょう。

ポイント3: こまめに掃除して、熱くなる場所に物を置かない
- 電子レンジの庫内やドアの内側に食品かすなどの汚れが付いたまま使うと、汚れが炭化してスパークし、発火するおそれがあります。
- IHこんろの上で、カセットボンベや缶詰を誤って加熱すると、破裂するおそれがあります。
- ラジエントヒーターの上で可燃物を誤って加熱すると、発火するおそれがあります。
調理器具以外のものは、トッププレートの上に置かないようにしましょう。
こんな事故が起きています
| 製品 | 事故の内容 | 推定される原因 |
|---|---|---|
| 電子レンジ(2023年10月、茨城県) | 庫内で布巾が焼損し、取り出そうとしたところ、布巾が落下して周辺を焼損する火災が発生した。 | 綿の布巾をかぶせた調理物を入れ、操作時にまちがえてグリル機能(ヒーター加熱)で調理を始めたため、庫内上部のヒーターに近い布巾が焼損したと推定されている。 |
| IHこんろ(2021年6月、大阪府) | 施設でIHこんろと周辺を焼損する火災が発生した。 | 原因の特定には至っていない。体などがボタンに触れてラジエントヒーターのスイッチが入り、上に置かれていたタオルが焼損した可能性が考えられる。 |
| IHこんろ(2021年4月、宮城県) | 調理中の鍋から出火し、周辺を焼損した。 | 揚げ物モードがない左ヒーターで揚げ物をして、その場を離れたため、油が発火したと推定されている。 |
電子レンジの取扱説明書には、「庫内で発煙、発火した場合はドアを開けない。ドアを開けると勢いよく燃え、火災の原因になる」「加熱しすぎによる発火を防ぐため、調理中は時々庫内を確認する」とあります。

電子レンジで「入れてはいけないもの」の例
金属製品の主な例として、次のものが挙げられています。
- アルミ箔
- 金属製の食器(表面や縁に金や銀の塗料があるもの)
- お菓子や冷凍食品の袋(アルミ蒸着袋)
- パン袋(留め具の針金)
- レトルトパウチ
- カップ麺の容器(ふたにアルミ素材があるもの)
アンケートでは、金属製品のほか、「卵をレンジ加熱した」「長時間加熱しすぎた」「モード選択やタイマー設定をまちがえた」「耐熱性のないプラスチック容器を温めた」という経験も挙がっていました。年代別では、若い世代ほど、事故やヒヤリハットの経験があるという回答の割合が高くなっています。
事故の情報やリコールも調べられます
今使っている製品に、過去の事故やリコールがないか、調べる方法があります。
- NITE SAFE-Lite: 製品名を入力すると、関連する事故の情報やリコール情報を検索できます。
- 消費者庁リコール情報サイト: 消費者向け商品のリコール情報を検索できます。「リコール情報メールサービス」に登録すると、新しいリコール情報などが届きます。
「面倒だから」と取扱説明書を読むのをキャンセルしないで、安全においしく調理する習慣にしていきましょう。
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出典
- NITE「脱・取説キャンセル界隈 〜「電子レンジ」や「IHこんろ」等の調理家電の事故を防ぐポイント〜」(令和7年9月25日発表)と発表資料(PDF)(2026年10月16日に確認)
